自宅でタイヤを保管するときに欠かせないものは?
タイヤの正しい保管方法をご存知でしょうか?
タイヤはノーマルタイヤとスタッドレスタイヤがあり、シーズン以外はどちらかのタイヤを保管しておく必要があります。
実はこの時の保管方法でタイヤの寿命が変わってくるのです。
では、タイヤを長持ちさせるためには、どのような環境で保管をすればいいのでしょうか?
タイヤを保管する際のポイントを見ていきましょう。
①「屋内」で保管する場合
タイヤを屋内で保管する際は、日陰や暗所などの直射日光が当たらない場所で保管することが重要です。
温度もあまり暑くなり過ぎない環境が必要となります。
タイヤメーカーではタイヤを置いた時、床にタイヤの成分が滲んでしまう可能性があるため、下に敷物をひくことを推奨しています。
床に染み付いたタイヤの跡を消すのは一苦労なのです。
さらに、タイヤの置き方も重要です。
タイヤを横置きにすると重さが分散されて設置面の変形が抑えられます。
スペースの兼ね合いもありますが、タイヤの置き方は基本「横置き」が良いと言われています。
したがって、屋内でタイヤを保管する場合は、
・ガレージや物置、納屋などの暗所で保管する
・タイヤの下にスノコやダンボールなどを敷く
・横置きで保管する
といった環境が望ましいと言えます。
②「屋外」で保管する場合
タイヤを屋外で保管する場合は雨雪が避けられる環境が必要です。
カーポートの下などであれば、雨や雪を避けられる可能性がありますが、水滴や湿気などを完全に防ぐことはできません。
そこで活躍するのが「タイヤカバー」です。
タイヤカバーとは、タイヤを保管・収納する時にタイヤに被せる布のことです。
ポリエステルなどの素材で出来ており、防水・防塵・遮光性が高い点が特徴で、タイヤに被せることでタイヤを劣化させる外的要因を遮断することができます。
タイヤカバーを使用することで、屋内に近い環境を作り出すことができるため、屋外でタイヤを保管する際には欠かせない必須アイテムと言えます。
ただし、タイヤカバーを使用していたとしても、タイヤの「置き場所」には注意が必要です。
タイヤは「熱」や「オゾン」に弱い性質を持つため、ストーブなどの熱源やエアコンの室外機の近くに置くと劣化を早める危険性があります。
したがって屋外でタイヤを保管する場合は、
・タイヤカバーを使用する
・ストーブやエアコンの室外機などから離れた場所で保管する
といった環境が望ましいと言えます。
保管の仕方を間違うとタイヤの寿命が短くなる
タイヤの劣化が早くなる原因
タイヤの劣化を早める原因はいくつかありますが、それはタイヤの約50%がゴムで出来ていることに起因します。
タイヤの劣化を早める原因とその影響を見ていきましょう。
①紫外線による影響
ゴムに紫外線が当たると、化学変化が起こり劣化が進んでいくと言われています。
紫外線による影響は、ゴムが硬化して表面にヒビ(クラック)ができるケースと、逆に分解が進み粘着性が生じるケースがあります。
成分の約50%がゴムで出来ているタイヤの場合も、紫外線が当たるとヒビ(クラック)ができたり、粘着性が生じてタイヤの状態を劣化させるといった影響が出てくるのです。
②オゾンによる影響
「オゾン」は大気中に含まれる成分で、特に日光が当たる場所や湿度の高い場所などに発生しやすい性質を持っています。
オゾンとゴムが化学反応を起こすと、分子レベルでの切断が生じ、ゴムの表面に亀裂が入ります。オゾンによって生じたタイヤの亀裂は「オゾンクラック」と呼ばれ、悪化するとパンクやバースト(破裂)に繋がります。
③雨水による影響
ゴムは比較的水に強い素材であると言われています。雨の日に車を運転することもあるため、あまり問題が無いように見えますが、長期に渡ってタイヤに水が付着していると状況は変わります。
タイヤに水が付着すると「加水分解」という化学変化が起こり、ゴムとして結合している分子の間に水が入り込んで結合を壊してしまうという現象が起きます。結合が壊れたゴムは強度が弱くなる為、タイヤとしての強度も弱くなってしまうのです。
また、ホイールを着けたまま保管している場合、水が付着することで錆ができる可能性があります。タイヤはまだ使えるが、ホイールだけ先に買い替えなければいけない、といったケースも出てくるのです。
④油による影響
タイヤは元々石油由来の合成ゴムを使用しているため、油との親和性が高いと言われています。ただ逆に馴染みやすいことでゴムの変質や劣化に繋がってしまうことがあります。これはタイヤに油が付着すると、水と同様に油がゴムの分子の間に入り込みゴムの結合を壊してしまうことが原因です。
そのためタイヤメーカーでは、タイヤの洗浄は水洗いを推奨しています。どうしてもタイヤの「美化剤」や「ツヤ出し剤」を使用したい場合は、「石油系」由来の洗浄剤は避け、「水溶性」の洗浄剤を使用するようにしましょう。
絶対にやってはいけないことは?
では、タイヤを保管する時に絶対にやってはいけないことは何でしょうか?
それは、
・直射日光が当たる場所で保管する
・野ざらしで保管する
ということです。
タイヤが劣化する原因となる紫外線は、太陽の日射に含まれています。
そのためタイヤに直射日光が当たると、ダイレクトに紫外線の影響を受け「硬化」や「粘着」などの症状が進行してしまいます。
また、雨水にさらされるとタイヤは化学反応を起こし、ゴムの分子の結合が壊れ強度が脆くなります。さらに屋外やベランダなど、エアコンの室外機の近くにタイヤを保管していると、オゾンの影響を受け、ゴムの表面に亀裂が入るなどの症状を引き起こします。
このようなタイヤの劣化は、放置しているとパンクやバースト(破裂)に発展する危険性があるため、タイヤの買い替えの原因となります。
つまり、タイヤの性能を維持できるか否かは「保管環境によって変わってくる」と言えるのです。
逆に言えば、保管環境が整っていればそれだけ、タイヤの寿命を延ばすことに繋がります。
タイヤカバーの役割と代用品について
自宅の屋外でタイヤを保管する際、タイヤカバーの使用をお勧めしました。
では、タイヤカバーを使用することでどのような効果があるのでしょうか?
タイヤカバーに関して、もう少し詳しく見ていきましょう。
タイヤカバーの役割って?
タイヤカバーの役割は、ゴムを劣化させる外的要因からタイヤを守ることにあります。
使用方法は簡単で、タイヤの上にタイヤカバーを被せ、風で飛ばされないように固定するだけです。
前述した「紫外線」や「雨水」「油」などはタイヤを劣化させる大敵です。
タイヤカバーはポリエステルなどの素材で出来ていますが、それには意味があります。
ポリエステルの紫外線カット率は90%、綿が約68%、麻が約56%と他の素材に比べて紫外線に強いことが分かります。
また防水・撥水機能も備わっており、雨や雪による水の付着や、油の付着による劣化を防ぐことができます。
そして耐熱性能にも優れており、約150〜180度の熱に耐えられます。
本来ベストなのは屋内やガレージ、納屋などの涼しい日陰や暗所でタイヤを保管することですが、スペースの問題でそれが難しい場合もあります。
そんな時はタイヤカバーを使用するのがおすすめです。
そうすることで、屋外でもタイヤを劣化させる原因からタイヤを守ることができるのです。
ビニール袋ではだめ?代用品はある?
タイヤを保管する際に、ビニール袋の中にタイヤを入れて保管するケースがあると思います。
主にタイヤ交換を自動車工場に依頼する場合は、汚れ防止のためにタイヤをビニール袋の中に入れてくれる所が多いです。
ではビニール袋はタイヤカバーの代用品となるのでしょうか?
まずビニール袋の特徴として、
・水や油などを弾くことができる
という利点があります。
ただし、タイヤを保護する上で足りない部分もあります。
それは、
・遮光性がない
という点になります。
遮光性がないことでタイヤは紫外線の影響を受け、タイヤを劣化させる原因となります。
また、ビニール袋は揮発性が無いため、万が一袋の中に水が侵入してきた場合、内部が多湿状態になります。
タイヤは水分によっても劣化するため、タイヤ本体は乾いている状態が重要となります。
もしタイヤカバーの代わりにビニール袋を使用する場合は、
・UVシートなど遮光性があるものを上から被せる
・定期的にビニール袋の交換や換気を行う
などの対策が必要となります。
保存袋はどんなものがおすすめ?選び方や種類、値段
量販店や通販サイトには様々な種類のタイヤカバーが販売されています。
自宅のスペースや保管方法に合った商品を選べるよう購入する際のポイントを見ていきましょう。
①選び方について
タイヤカバーを選ぶ時の必須条件は、
・遮光性があること
・防水性があること
・耐久性があること
という点です。
前述した通り、タイヤの寿命を長持ちさせるには紫外線や水、油からタイヤを守る必要があるため「遮光性」や「防水性」は最重要項目です。
また「耐久性」に関しては、何かのきっかけで布が破れてしまうとその隙間から雨や雪が入る可能性があるため、タイヤカバーを選ぶ際はできるだけ頑丈なものを選びましょう。
②種類や値段について
タイヤカバーの種類には主に、
・個包装タイプ
・4本セットタイプ
・タイヤラックタイプ
の3種類に分かれます。
・個包装タイプ
個包装タイプは、タイヤ4本を個別に包装できる形状になっています。
そのまま車内に積み込むことができ、持ち運びしやすいのが特徴です。
価格帯は2,000〜5,000円前後となります。
・4本セットタイプ
4本セットタイプは、タイヤを横置きにした状態で4本重ねて保管する際に、上から被せてタイヤを覆うタイプのカバーです。
ジップファスナーで簡単に開け閉めすることができ、タイヤを1つ1つ包装する手間が省けるのが特徴です。
価格帯は1,000円〜3,000円前後となります。
・タイヤラックタイプ
タイヤラックタイプは、省スペースのためタイヤラックを使用している方向けの商品です。
ラック全体を覆う形状になっており、上から被せることで簡単に装着することができます。
価格帯は3,000〜5,000円前後となります。
安価なものは遮光性や防水性、耐久性が備わっていない可能性があるため、商品の性能をしっかり確認してから購入を決めましょう。
タイヤの保管で気を付けること
保管環境によってタイヤの性能を長持ちさせられることが分かりました。
では、環境を整える以外に気をつけることはあるのでしょうか?
タイヤを少しでも長持ちさせる為にすべきことを見ていきましょう。
タイヤカバーに入れる前にしておくべきポイント
①保管前にタイヤを洗って乾かす
まずはタイヤを洗って汚れを落としましょう。
ワンシーズン使用したタイヤには汚れや油分、融雪剤などの化学物質が付着しています。
そのまま放置すれば、タイヤを劣化させる可能性があります。
タイヤを洗う際は水洗いが基本です。
ブラシやスポンジなどでタイヤのゴムとホイールを洗い、その後しっかりと乾かしましょう。
②空気圧を下げて保管する
タイヤメーカーでは、タイヤをホイール付きで保管する場合空気圧を少し下げることを推進しています。
タイヤの空気圧は、クルマや荷物の重さがかかっても耐えられるように設定されており、内側からかなりの圧力がかかっています。
取り外してそのまま保管すると、その圧力でゴムに負担がかかり、劣化やひび割れが進行してしまいます。
空気を抜くことで、ゴムの負担が減り、劣化やひび割れが抑制されるのです。
空気圧の調整は、バルブの中心にあるピンをドライバーなどで軽く押してあげるだけです。誰でも簡単に作業ができます。
タイヤの置き方も重要
タイヤを横置きにするか縦置きにするかでも、タイヤにかかる負担が変わってきます。
タイヤメーカーでは、タイヤを保管する際は横置きを推進しています。
タイヤを横置きにすると、タイヤ自身の重さが分散され設置面が変形するのを抑制できるからです。
一方で、収納スペースの問題でタイヤラックなどに縦置きで保管するケースがあると思います。
縦置きの場合、設置面にかかる負担でタイヤが変形する可能性があります。
その際は小まめに設置面を変え、1箇所が変形するのを防止するなどの対策を取っていきましょう。
まとめ
タイヤを長持ちさせるには、装着時以外にも保管時の環境が重要であることが分かりました。
保管時の環境としては、
・直射日光(紫外線)が当たらないようにする
・水や油に触れないようにする
・オゾンの影響を受けない場所に保管する
などの条件が必要となります。
自宅以外に、上記の条件が揃った場所にタイヤを保管できる方法があります。それは「タイヤの保管サービス」です。
自動車工場では、タイヤの保管場所を有料で提供している所があります。
・環境の良い場所にタイヤを保管しておきたい
・賃貸物件で屋内にも屋外にも保管する場所が無い
・タイヤの積み下ろしなどに苦労している
という方は、タイヤ保管や交換を請け負ってくれる会社にタイヤを預けるのも一つの手です。
空調や室温が安定した倉庫で保管してもらうことで、タイヤのコンディションを安定的に維持することができます。
保管の費用は会社によって異なってくる為、それぞれの会社に問い合わせてみましょう。
もちろん、弊社が運営している「車検のコバック紫竹山店・女池インター店・寺尾店・赤道店・コバックステーション」でもタイヤ保管サービスを承っております。
置き場所以外にも、「タイヤを長持ちさせたい」と考えている方は、ぜひ弊社にお問い合わせください。
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